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栄養レシピ&コラム 2011年公開分
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今、米粉が注目されています

今、米粉が注目されています

 パンやケーキ、麺など米粉を使った製品を見かけることが多くなりました。“米粉”とは文字通り、米(うるち米)を粉末にしたもので“上新粉”とも呼ばれます。もち米を粉にしたものは“白玉粉”で、主に和菓子の材料として使われます。
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 近年、米粉にスポットが当たるようになった背景には、日本人の食生活の変化から、米の消費量が減少し、小麦を使ったパンや麺の消費量が増えてきたことにあります。小麦はその大半を輸入に頼っており、世界的な食料需給のバランスから、将来安定した供給に不安があります。そんな中で、米の新しい利用の仕方として、パンや麺、菓子など、小麦粉を材料としていたものに、米粉を代用することで、米の消費量を増やし、食料自給率をアップさせたい狙いがあるようです。それがひいては日本の農業を守ることにもつながります。
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 米粉と小麦粉を比較すると、小麦粉の方が、ややたん白質と脂質が多いものの、エネルギーなどは、ほぼ同じくらいです。米粉はサラサラとして、口どけがよく、しっとりソフトで、モチモチ感があるのが特徴です。米粉で作ったパンは、水分含有量が多く、モチモチ感があります。固くなっても、トースターなどで温め直せば外はカリッ、中はさらにモチッとした食感に。ロールケーキやシフォンケーキは、しっとりふんわりで、米の持つ自然の甘みで、砂糖や油脂が控えめでもおいしく、やさしい味に仕上がります。
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 米粉はダマになりにくいので、ホワイトソースなどにも向いています。料理に加えるだけで、簡単にとろみをつけることもできます。また、小麦粉に比べると、油の吸収量が少ないので、天ぷらや唐揚げもヘルシーで、しかも食感はサクサクに仕上がります。米粉はパンや菓子だけでなく、料理にも手軽に使えます。
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 米粉は、小麦アレルギーの方にとっても、うれしい食材ですが、気をつけてほしいことがあります。それは米粉使用と表示されているものは、必ずしも小麦が入っていないとは限らないこと。米粉パンや製パン用米粉は、ふっくらとさせるために、小麦グルテンが含まれているものも多くあります。
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 グルテンは小麦から生成されるタンパク質の一種なので、小麦アレルギーを起こす可能性があります。グルテンとしか表示がないために、小麦アレルギーと結びつかなかったり、表示そのものがない場合もあります。米粉とあっても、表示をしっかりと確認する、お店の人に詳しく尋ねるなどしてください。もちろん、まだ少ないですが、小麦粉やグルテンが入らない米粉製品も販売されています。今後どんどん増えてくると予想されますが、原料表示を正しくわかりやすくする必要があります。
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 米粉を代用しようという発想には驚きですが、形は変わっても、もとは“米”私たちが古くから食べてきた主食です。新しい流れもうまく取り入れながら、これからも日本の食を大切にしていきましょう。