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栄養レシピ&コラム 2011年公開分
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あんこの古今東西

あんこの古今東西

 秋のお彼岸が近づいて来ました。ご先祖様の供養をするお彼岸に「おはぎ」を供える方も多いと思います。

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 秋のお彼岸には、秋に咲く“萩の花”にちなんで「おはぎ」、春のお彼岸には、春に咲く”牡丹の花”にちなんで「ぼた餅」をお供えします。基本的におはぎとぼた餅は同じものですが、一年に二回あるお彼岸に、その呼び名を変えて季節を感じる、日本人独特の風情があります。

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 では、なぜ「おはぎ」をお供えするかというと、あんこは昔から縁起のよい食べ物とされていた小豆と、当時は大変貴重だった砂糖で作られており、それをご先祖様におすそ分けする、また小豆が邪気を祓ってくれるとし、供養につながったとされています。

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 そもそもあんこは中国から伝わった「羊羹(ようかん)」が起源とされています。中国の”羊羹”は、羊の文字が表す通り羊肉のスープ料理でした。それを伝承する日本の禅僧は、肉食禁止の食生活だったので、羊肉を小豆や米などで代用して肉のように成形し、汁をかけて食べていました。それがだんだんと汁気がなくなり、今の羊羹になったとされています。羊肉もどきの甘くない羊羹が、あんこの原型になったのです。

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 あんこの歴史は深く、様々な歴史的な著名人も関わっています。その代表的な人物こそ暴れん坊将軍としてその名を知られる徳川吉宗。あんこに欠かせない砂糖は、昔は薬としても使われるほど貴重で、庶民の口に入ることはめったにないものでした。

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 長い間そのほとんどを輸入に頼り、とても高値で取引されていたため、その資金源である銀が不足し、危機感を感じた徳川吉宗が砂糖を国産化することを言い出したのです。砂糖の国産化により、庶民の口にも砂糖、甘味とういうものが広まっていきました。私達が甘いお菓子を食べられるのは、暴れん坊将軍のおかげかもしれません。

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 小豆と砂糖の出会いによってあんこが生まれ、各地でいろいろな和菓子が作られました。その代表に「ぜんざい」と「おしるこ」があります。関西よりでは、ぜんざいは粒あん、おしるこはこしあんで汁気のあるものを言います。関東よりでは、ぜんざいはこしあんで、さらさらした汁気はないものを、おしるこは逆に粒あんで汁気があるものを言うそうです。

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 また、おやつとして馴染みのある大判焼きは関西の呼び方、関東では今川焼きと呼ぶなど、地方によっていろいろな呼び方があります。私は広島出身ですが、二重焼きと呼んでいます。
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 あんこと言えばあんパンです。アニメの人気キャラクター”アンパンマン”は、元気のない人に自分の顔をちぎって食べさせ元気を与えます。この事を栄養学的に分析するとこうなります。

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 ヒトの脳はブドウ糖しかエネルギー源にできません。ブドウ糖は食物にある糖質を分解して作られますが、分解するにはビタミンB1が必要です。あんこを食べると、体内で砂糖と小豆の糖質を分解するのを、小豆に含まれるビタミンB1が助け、すばやく脳に栄養が行き届き、元気になれるというわけです。

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 他にも小豆には、動脈硬化予防に注目される「ポリフェノール」、悪玉コレステロールや肥満の原因となる中性脂肪を抑制する「サポニン」も豊富に含まれているなど、小豆にはたくさんの魅力が詰まっています。ちなみにアンパンマンのあんこは「粒あん」だそうですが、粒あんには食物繊維もたくさん含まれています。そんなおはぎやあんパンはとても美味しいですが、砂糖の摂り過ぎにつながるので、食べすぎにはくれぐれも注意を。

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 「棚からぼた餅」ということわざがありますが、特に苦労することなく幸運が舞い込んでくることを意味します。砂糖がとても貴重だった昔には、ぼた餅の甘さは人々を幸せにさせるものだったのでしょうね。甘いものにあふれる現代でも、あんこの甘さはどこかほっとさせてくれます。
あんこが食べたくなってきました・・・。