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小さなごまの大きな力

小さなごまの大きな力

 青菜のごま和えやごま豆腐、ごま油を使った料理など、私たちの食卓に欠かせない存在のごま。当病院の給食でも登場回数の多い食材の一つです。
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 ごまは種実類といって、ピーナッツや栗の仲間です。原産国はアフリカのサバンナ地帯。その健康効果は古くから知られており、世界中で薬や食用として珍重されてきました。日本にはシルクロードを経由して中国から伝わり、奈良時代からごま油が料理に使われていました。肉を食べることを禁じられていた僧侶たちの栄養源でもあったようです。
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 日本では白ごま、黒ごま、金ごまが主に食べられていますが、世界にはおよそ3000種類ものごまがあるそうです。外皮の色による栄養成分的な違いはさほどなく、それぞれの持つ風味などによって使い分けられています。
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 ごまの成分のおよそ半分は脂質。リノール酸やオレイン酸などの不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。不飽和脂肪酸には、中性脂肪や悪玉コレステロールの上昇を抑える作用があり、高血圧や動脈硬化予防が期待できます。また、良質なたんぱく質や食物繊維、若返りのビタミンといわれるビタミンE、ビタミンB群、カルシウム、鉄、マグネシウムなどのミネラルも含みます。
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 健康成分として有名な『セサミン』。セサミンはごまに含まれる水溶性食物繊維のリグナン類の一種で、その特徴は強力な抗酸化作用にあります。ごまに含まれるビタミンEとの相乗効果で、老化や生活習慣病の原因である活性酸素を除去し、アンチエイジングやがん予防に効果があるといわれています。また抗酸化作用によって、ごま油そのものの酸化も防いでくれます。さらに肝臓の機能を高め、肝臓がんの予防やアルコールの分解を助ける効果も。
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 お店では洗いごま、炒りごま、すりごま、ねりごまなど、いろいろなタイプのものが売られています。洗いごまは収穫後のごまを水洗いして乾燥させたもので、焙煎はされていません。炒りごまは、洗いごまを焙煎したもの。ごまをしぼったごま油は、ビタミン・ミネラルが豊富です。加熱しても酸化しにくいので、様々な料理に使えます。
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 すりごまは手軽ですが、ごまの香りや香ばしさを楽しむには、粒のままで購入し、小さな鍋などで煎ってすりつぶすのがおすすめです。ごまの外皮はとても硬く、粒のまま消化されずそのまま体外に出てしまうことも。栄養を効率よく吸収するためにも、すりごま、切りごまにして食べるようにしましょう。調味料代わりにふりかければ、塩分を控えることもできます。
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 ねりごまは、ごまを細かくすりつぶしてペースト状にしたもので、炒りごまやすりごまに比べてたくさんの量を食べやすく、消化吸収もよいのが特徴です。白和えなどの和え物やドレッシングなどに使うとコクが出ておいしくいただけます。
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 ごまに含まれるビタミンEや鉄は、ビタミンCやクエン酸と合わせて摂ることで抗酸化作用・吸収率が倍増します。お酢と合わせてごま酢和えにしたり、ポン酢と合わせて和風ドレッシングなどにするのもおすすめです。
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 保存する際に気をつけたいのが湿気。開封後はしっかり封をするか、ビンなどの密閉容器に移し替えるとよいでしょう。酸化を防ぐためにも開封後は早めに使いましょう。
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 毎日でも摂りたいごまですが、体にいいからといって食べ過ぎるのはやはり禁物です。ごまは成分の半分が脂質なので、大量に食べると脂質の摂り過ぎにつながります。また、消費者庁は今年、市販の加工食品にアレルギー物質として表示するよう推奨する品目として、新たにごまを加える方針を決めました。2011年には12例のアレルギーが報告されています。アトピーとの関連も強いといわれているため、小さいお子様やアレルギー体質の方は注意されたほうがいいかもしれません。
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 ところで『ごまかす・ごまかし』ということば、由来は諸説ありますが、その一つが江戸時代のごまを使った胡麻胴乱というお菓子です。見た目はおいしそうなのに、中身は袋のようにすかすかで空っぽであることから、見かけだおしの例えになったごまのお菓子→ごま菓子→ごまかしになったそう。「ごま」で「ごまかす」ではないですが、料理に加えるとおいしさも栄養もアップしてくれるごま。これからもどんどん食卓に登場させたいものです。