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和食の要“だし”

和食の要“だし”

 年末年始は年越しそばやおせち料理、お雑煮などを召し上がる方が多いと思います。そんな伝統的な日本料理や、和食の味わいを決める重要な存在が「だし」です。みそ汁やすまし汁といった汁物のベースとなり、また煮物やお浸しなど様々な和食に欠かせません。
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 だしの味は甘味、塩味、酸味、苦味に次ぐ第五の味覚「うま味」とされます。1907年に池田菊苗博士が、昆布に含まれるアミノ酸の一種グルタミン酸を、うま味成分として世界で初めて発見しました。その後研究が進み、1980年代には「UMAMI」が世界に通用する味覚として認められました。現在では、うま味調味料やだし入りつゆ、みそなど手軽に使えるよう工夫された調味料が販売されるようになり、日本だけでなく、海外でも広く使われています。
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 一般的にだしの材料としてよく使われるのは、昆布とかつお節ですが、その他に干ししいたけや煮干し、貝類などがあります。しっかりとしただしのうま味があれば、無理なく塩やしょうゆなどの調味料を減らすことができ、減塩にもつながります。
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 ここで、基本的なだしのとり方を紹介します。意外と簡単にできるので、ぜひお試しください。
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 なべに水5カップ(1L)、だし昆布5gを入れ中火にかけます。煮立つ直前、小さな泡が出てきたら昆布を取り出し、かつお節15g~20gを加え、火を止めます。数分おいてかつお節が沈んだら、布巾やペーパータオルをひいたザルで濾せば、香り高いうま味たっぷりの一番だしの出来上がりです。ぐらぐらと沸騰させると、生臭みやえぐ味が出てしまうので注意を。ていねいにとった一番だしは、すまし汁やみそ汁、茶碗蒸しなどに、日本料理店にもひけをとらない美味しさが味わえます。
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 一番だしをとったあとの昆布とかつお節に、水2~3カップを加えて、弱火で半量になるまで煮て、同様に濾せば二番だしの出来上がり。こちらは煮物などに使うと、素材の味を引き立たせ美味しく仕上がります。残った昆布とかつお節は、そのままポン酢をかけて食べてもよし、またしょうゆと砂糖で甘辛く煮て佃煮風にすると、余すことなく食べられます。だしは冷蔵庫で保存すれば2~3日は日持ちするので、まとめて作るとたっぷり使えます。
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 家庭でのみそ汁には煮干しのだしがおすすめ、煮干しの頭とはらわたを除いてとれば、上品でさっぱりとしただしに。まるごと使えば複雑なうま味のある味わいに。まるごと一晩水につけておいて、そのままみそ汁にするのが我が家の定番です。
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 折しも昨年、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されました。ヘルシーさと美味しさから、世界で和食の人気が高まる一方、日本では和食離れが危惧されています。主食である米の消費量が減り、野菜と魚をおかずにご飯を食べるという和食のスタイルから、パン食が増え、乳製品や肉類の消費量が増加。調理にかける時間も短くなり、だしの味を経験しないまま、その美味しさを知らずに育つ子供も増えていると聞きます。小さな頃からの食体験が、その後の味覚と食習慣を左右し、将来の健康にもつながってきます。日本の豊かな自然がもたらす食材の美味しさを引き出してくれる「だし」の魅力を、もう一度見直してみませんか?