コツコツ増やそう、骨密度
みなさんは骨粗しょう症という言葉を聞いて、どんなことを連想しますか?
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骨粗しょう症は、骨密度が低下して骨の内部がスカスカになり、しなやかさも失われることで、わずかな衝撃でも骨折しやすくなってしまう病気で、いわば骨の老化現象です。
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骨はカルシウムやリン、マグネシウム、ナトリウム、銅、亜鉛などのミネラル類と、たんぱく質(コラーゲン)、脂質などでできています。私たちの体の骨は、つねに新陳代謝で新しく生まれかわり、およそ3年ですべて作り変えられるといわれています。その骨の生まれ変わりを助けるためには、もちろん材料が必要です。骨の成分といえば、まず思い浮かぶのはカルシウムですが、じょうぶで健康な骨づくりには多くの栄養素が関わり合っているため、カルシウムだけを増やせば大丈夫、と安心してはいけません。
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骨密度は私たちが18歳のころにピークを迎え、年齢とともに徐々に減少し、60歳代ではピーク時の8割以下に、70歳代では約半数の人が骨粗しょう症になるといわれます。現在、寝たきりの理由の第2位は骨折。骨粗しょう症になれば、骨折の危険性がぐっと高まります。いつまでもはつらつと元気に生活するためには、ピーク時の骨密度を長く保ち、じょうぶで健康な骨を維持することが大切です。
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では、どうすれば骨を健康に保てるのでしょうか。
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まず大切なのは、骨密度を高める食事です。骨の健康に欠かせないのがやはりカルシウム、そしてビタミンDとビタミンKです。
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カルシウムは骨や歯を形成します。カルシウムを摂るには牛乳やチーズ、ヨーグルトなど乳製品がおすすめです。1日コップ1杯の牛乳を習慣にしましょう。牛乳に含まれるたんぱく質には、カルシウムの吸収を高める相乗効果があります。牛乳が飲めない方は、骨ごと食べられるちりめんじゃこや干しエビ、干ししいたけ、切干大根などを毎日の食事に登場させましょう。
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カルシウムは吸収率の悪い栄養素の一つです。ビタミンDには、カルシウムの吸収や代謝を助けるはたらきがあります。豊富なのは、イワシやサケ、カレイなどの魚や、きくらげや干ししいたけなどの天日干ししたきのこです。またビタミンDは、日光(紫外線)に当たると私たちの皮膚でも作られます。日照時間の短い地域や紫外線量の少ない冬は不足しやすいので、積極的に食事で摂取しましょう。
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ビタミンKはカルシウムを骨に取り込むのを助け、じょうぶにします。とくに納豆に多く含まれ、納豆をたくさん食べている地方は骨折が少ないことが報告されています。モロヘイヤや小松菜など色の濃い葉物野菜にも多く含まれます。
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骨密度の低下を早め、骨をもろくしてしまうのは、塩分やカフェインの摂りすぎ、喫煙、お酒の飲みすぎ、食品添加物に使われる過剰なリン、そして運動不足です。とくに女性は閉経後に女性ホルモンの分泌が減少し、カルシウムの吸収率がさらに低下します。骨粗しょう症予防のためには、食事に加え、ウォーキングなどの適度な運動で骨に刺激を与え、日光を浴びてビタミンDをしっかりつくるなどの対策が重要です。
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いつまでも充実した生活を送るために、骨の健康は欠かせません。骨密度を保ち、じょうぶな骨をつくるための生活習慣は、いつ始めても遅すぎることはありません。コツコツ、ひとつでも始めてみましょう。