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新芽野菜 スプラウト

新芽野菜 スプラウト

 夏の暑さも落ち着き、秋の気配を感じるようになりました。今年の広島県の夏は例年に比べて多雨で日照時間が短く、野菜や米の生育不足が心配されます。それに伴って旬の野菜の値上がりも予想されていますが、野菜不足になるのは避けたいところ。
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 そこでおすすめしたいのが、『スプラウト』です。スプラウトは新芽野菜とも呼ばれる、ブロッコリーや大根、大豆、えんどう豆などの野菜や豆類の赤ちゃんのこと。ブロッコリーだとブロッコリースプラウト、えんどう豆だと豆苗(とうみょう)、大豆だともやしがスプラウトになります。最近ではスーパーの葉物野菜のコーナーで、様々な種類を見つけることができます。工場で栽培されるので、年中安定した価格で買うことができる上、栽培期間が短いので、農薬の心配も少なくて済みます。
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 スプラウトの歴史は古く、中国では5000年前からすでにもやしが栽培されており、体に良い食材として重宝されていました。日本では平安時代に、かいわれ大根を高級食材として貴族たちが好んで食べていたそうです。
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 植物の種子には、芽を出し、成長するための栄養素がぎゅっとつまっています。種子は発芽すると同時に、種子の状態では存在しなかった新たなビタミンやミネラル、アミノ酸などの栄養素や酵素を、成長のために一気に作り出します。そのため、スプラウトは種子や成長後の野菜にも負けない栄養の宝庫となります。
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 近年スプラウトが注目されるきっかけとなったのは、1990年代にアメリカのタラレー教授により、ブロッコリースプラウトにはガンを抑制する予防効果があるという主旨の論文が発表されたことです。ガンの予防効果は、ブロッコリーに含まれるスルフォラファンという酵素によるもので、このスルフォラファンが、スプラウトには成熟時の約30倍も含まれているのです。スルフォラファンは、植物に含まれる化学物質フィトケミカルの一種で、ピリッとする辛みのもととなる成分のこと。優れた解毒作用と抗酸化作用が特徴です。
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 わたしたちは毎日の生活で、大気汚染・化学物質・たばこの煙などの発ガン物質にさらされています。人の体にはこれらを体外に排出する解毒作用がもともと備わっていますが、スルフォラファンはこの作用を高めるはたらきがあるのです。また、老化や動脈硬化の原因となる活性酸素を除去する抗酸化酵素の生成を促進する作用もあります。最近では、二日酔いのもとであるアセトアルデヒドの肝臓での代謝を助け、二日酔いを軽減する効果や、胃炎や胃ガンの原因となるピロリ菌を除去する効果が動物実験で明らかとなっています。今後の研究に注目したいところです。
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 スルフォラファンは熱に強いので、加熱しても問題ありませんが、生で手軽に食べられるのもスプラウトの魅力です。クセはほとんどないので、サラダに入れたり、サンドイッチの具にしたり、グリーンスムージーに入れたりといろいろな料理で使えます。辛みや青臭さが気になるときには、加熱すると和らぐので、みそ汁の具にしたり、炒めたり、卵焼きの具にすると食べやすいです。買ってきたお惣菜にトッピングするだけでも、彩りと栄養を補えるので、ぜひ取り入れてみてください。
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 栄養満点で安全、価格も安定しており、台所で簡単に栽培することもできる、体にもお財布にも優しいスプラウト。食卓の頼れる存在になってくれそうです。