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後世に残したい 木のまな板

後世に残したい 木のまな板

 調理道具の中で欠かせない物のひとつにまな板があります。私たちは毎日包丁と共に当たり前のように使っていますが、まな板を常用しているのはおもに東アジア圏だそうです。これは箸を使う文化がある国とほぼ一致しており、料理を箸で取り分けられるよう、あらかじめ食材を切るため、まな板は必要不可欠となりました。ヨーロッパなどでは、大理石の調理台で直接切ったり、ガラス製のカッティングボードを切る以外に皿としても兼ねているなど、調理のための専用のまな板という概念がないことが多いようです。
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 まな板の「まな」とは、真魚あるいは真菜として、魚や野菜を意味し、それらを切るための板からまな板と呼ばれるようになったそうです。昔は土間や板の間に直接置いて使うため、木の板の下に下駄のような足がついていました。現在のような調理台になるにつれて、足はなくなり1枚の板状になりました。
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 近年は樹脂製のまな板が登場し、利便性や衛生面また安価なことから、木製に代わって主流となっています。木製のまな板は、日本の包丁の歴史と共に歩んで来ました。ですから包丁との相性が良く、刃当たりは手に優しく、まな板に当たる音や木の香りが心地よいものです。家庭の台所から遠のきつつある木製のまな板ですが、その良さを見直して残していきたいものです。
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 木製のまな板の素材には、ヒノキ、ヒバ、イチョウ、ヤナギ、キリ、ケヤキなどが用いられています。耐水性があり、水切れがよいこと、刃当たりの良い適度な硬さが求められます。ヒノキは抗菌効果のあるヒノキチオールを含んでおり、適度な硬さで水切れがよく、乾燥にも強いので多く利用されています。ヒバもヒノキチオールを含み、耐水性があります。イチョウは最も刃当たりが良いといわれています。キリはやや軟らかいが刃当たりが軽く、乾きが早いのが特徴。ヤナギは鋼(はがね)の包丁との相性が良く、高級まな板としてプロの調理人に好まれます。また一枚板の切り出し方によって、木の中心部に対し直角に切る柾目が変形しにくく良いものとされます。
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 木製のまな板を清潔に長持ちさせるには、必ず守りたい使い方があります。まずは使う前に水をかけること、表面に水の膜を張ることで、匂いや汚れがつきにくくなります。水気が気になるときは、濡らしたあとに清潔な布巾で軽く拭き取るとよいでしょう。そして使い終わったらすぐにすすぐようにします。洗剤を使用したらしっかりとすすぐよう心掛けて、漂白剤は厳禁です。きれいに洗ったあと、熱湯をかけると衛生面でも安心です。ただ肉や魚を切ったあとに、きれいに洗わないで熱湯をかけると、たんぱく質が固まってしまうので気をつけましょう。匂いの強い魚や肉は、表裏の使い分け、牛乳パックを広げたもの、薄いシート状のまな板などを利用すると手入れがラクです。
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 さらに、洗ったあとは水気を拭き取り、自然乾燥させます。乾燥機の使用や直射日光は、反りや割れの原因になります。包丁のキズが気になるときは、クレンザーや重曹、粗塩などをつけてタワシでこすり洗いすると、キズの中の汚れが落ち除菌にもなります。ゆがみを防ぐために、木目が縦になるよう立てて置きましょう。
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 樹脂製のまな板に比べて木製はやや高価です。品質の良いものを求めるとさらに高価になりますが、厚みが2~3cmあるものは、使い方の基本を守り、表面を削り直すことで20年以上使えます。一生ものと考えて、自分に合った使いやすいまな板をじっくり選んでみてはいかがでしょうか。