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栄養レシピ&コラム 2015年公開分
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ビタミンの宝庫 ピーマン

ビタミンの宝庫 ピーマン

 夏に向かって、暑さが日に日に増している今日この頃ですが、これから旬を迎える夏野菜のひとつがピーマン。一年中購入することができますが、旬は夏で、とくにおいしいのが6~8月です。葉物野菜の高騰がニュースでも話題になっていますが、ピーマンは比較的価格も安定しており、栄養もたっぷり詰まっています。
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 ピーマンは南米の熱帯地方を原産国とする野菜で、日本には16世紀頃にポルトガル人により伝来し、戦後に一般家庭に普及しました。トマトやナス、ジャガイモと同じナス科の野菜で、ほかにシシトウやトウガラシも同じ仲間に分類されます。
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 緑黄色野菜のピーマンには、さまざまなビタミン・ミネラルが含まれていますが、中でも豊富なのがビタミンCとベータカロテンです。とくに赤ピーマンは野菜の中でもトップクラスのビタミンC量を誇ります。ピーマンなら4個、赤ピーマンなら2分の1個で一日分のビタミンCを摂ることができます。ビタミンCはコラーゲンの生成を助け、しみのもととなるメラニンの生成を抑える美肌効果や老化防止効果があります。また、ピーマンに含まれるビタミンCは、ほかの野菜に比べて熱に強いのが特徴です。これはピーマンに含まれるビタミンPという栄養素が、ビタミンCを酸化と熱から守ってくれるため。ビタミンPには毛細血管を丈夫にする働きもあります。
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 ベータカロテンも肌や粘膜を保護する効果や抗酸化作用があるため、これからの紫外線がとくに強い季節にうってつけです。ベータカロテンは油と一緒に摂取すると吸収率がアップするので、油を使った炒めものや、オイル入りドレッシングでサラダにするのがおすすめの食べ方です。
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 また、ピーマンの特徴でもある独特の青臭さは「ピラジン」という成分によるもので、ワタの部分にとくに多く含まれています。ピラジンには、血液が固まるのを防いで血液をサラサラにする効果があり、心筋梗塞や脳梗塞の予防効果が期待できます。
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 最近では緑色のほかに、赤やオレンジ、黄色といったカラフルなピーマンを見かけることも増えました。赤ピーマンは緑ピーマンを完熟させたもので、青臭さや苦味が弱まり、甘みが増して生でも食べやすくなります。パプリカはピーマンよりも大きく肉厚な品種で、みずみずしさと甘さが特徴です。カラフルなピーマンを料理に取り入れると、食卓がぐっと華やかになります。
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 さらに、食べるラー油や塩麹、レモン塩に次ぐ新たな調味料として、パプリカを使って作る「マッサ(マッサ・デ・ピメンタォン)」が注目されています。マッサはもともとポルトガルで万能調味料として親しまれてきたもの。作り方もシンプルなので、簡単にご紹介します。
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 材料は赤パプリカと塩とオリーブオイル。塩は粗塩や天然塩がおすすめです。赤パプリカはよく洗って水気をふきとり、ヘタと種をとって、縦4~8割にし、パプリカ1個に対して大さじ1の塩(パプリカの重量のおよそ20%)をよくなじませてから、ボールなどに詰めます。お皿などで軽く重石をしてそのまま1~2週間冷蔵庫で寝かせます。あがってきた水を捨て、パプリカをよく水洗いしてから水気をふきとり、日当たりのよい場所で丸一日天日干しします。それをフードプロセッサーかすり鉢で粗めのペースト状にし、保存ビンに詰め、表面に5mm厚さほどのオリーブオイルを流し入れて完成です。
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 パプリカのうま味や甘味が凝縮したマッサは、和・洋・中といろいろな料理に合い、ポルトガルでは日本のしょうゆや味噌のような感覚で使われているそうです。どんな食材とも相性がよく、冷奴にのせたり、豚肉のソテーの下味にしたりと、いろいろ活用できそうです。パプリカの鮮やかな赤色も食欲をそそります。私もこの夏ぜひ作ってみようと思います。
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 ピーマンやパプリカを購入するときは、ヘタの切り口がみずみずしく、表面がつやつやして張りがあるものを選びましょう。保存する際は水気をしっかりふきとり、ポリ袋に入れて野菜室に。新鮮なほどおいしいので、早めに食べ切るようにしましょう。
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 これから暑さで食欲も落ちがちですが、カラフルで栄養満点なピーマンを食べて、心も体も元気に夏を迎えましょう。