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栄養レシピ&コラム 2015年公開分
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その症状、秋バテかも?

その症状、秋バテかも?

 9月も半ばが過ぎ、暑さも落ち着き朝晩は過ごしやすくなってきました。今年の夏は暑い日が多く、夏バテになった方も多かったのではないでしょうか。ようやく暑さが和らいできたのに、体がだるく頭がぼっーとしてすっきりしない、胃がもたれ食欲がない、お腹の調子がわるく便秘や下痢をしている、寝つきや寝起きがわるく疲れが抜けない、肩こりや手足が冷たい、風邪が治らない・・・こんな症状があったら、それは「秋バテ」かもしれません。
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 ご存知のように夏バテは暑さが原因で、汗をかくことによる水分やミネラル不足、冷房の効いた室内と暑い屋外の温度差による自律神経の乱れや睡眠不足、食欲の低下や冷たいものを摂ることによって、胃腸の消化機能が低下するなどの症状が出ます。重大な症状には至らないけれども、慢性的な疲れを抱えた状態に。夏バテが回復しないまま季節の変わり目を迎えると、いわゆる秋バテの症状になりやすく、また夏バテをしなかったと感じていても、涼しくなり始める頃、一気に疲れが出ることもあるので注意が必要です。
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 私たちの体には体温を一定に保とうとする働きが備わっています。しかし気温の寒暖差が繰り返されると体に負担がかかり、対応しきれなくなることがあります。特に夏から秋への移り変わりは、すでに夏の暑さによって体は大きくダメージを受けているので、さらに大きな負担となりがちです。また急激な温度差は自律神経を乱す要因に。自律神経は交感神経と副交感神経を切り替えることで、身体の状態を保ってくれていますが、乱れると全身の倦怠感、思考力の低下、食欲不振、血行不良など様々な症状を引き起こします。
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 秋バテにならないためには夏の過ごし方が大切です。熱中症予防の観点からも水やお茶、スポーツドリンクなどをこまめに飲んで水分補給を、ただし冷たいものばかりでは胃腸に負担がかかるので、常温やときには温かい飲み物を。ジュースやアイスクリームなどの冷たいものはほどほどに。食事は1日3食バランスよく、汗で失われるミネラルを補える野菜を積極的に、たんぱく質源の魚や肉、卵、豆類などを組み合わせて、量よりも質を心がけて摂ること。またエアコンの温度設定は低過ぎないように、とくに寝る時はタイマーを使う、温度設定は昼間より高くするなど体を冷やし過ぎないように注意すると、身体への負担は軽く、夏バテにもなりにくくなるでしょう。
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 とはいえ、もう暑い夏は過ぎてしまいました、後悔先に立たず・・・ですが、ここできちんと対処すればまだ遅くはありません。秋バテかなと思ったら、十分な休養と栄養を摂って、体をやさしくいたわりましょう。まだ日中は暑いのでエアコンを使うときは、冷やし過ぎないように注意します。入浴は暑いからとシャワーだけですませず、お湯に浸かりましょう。ややぬるめの湯にゆっくり浸かれば、冷えた体を温めてリラックスでき、寝つきがよくなりますし、胃腸の機能も回復します。また軽めの運動で体を動かすと、脳の活性化にもつながります。
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 そして食事は1日3食規則正しく、まずは弱った胃腸を整えましょう。冷たいジュースやビールをゴクゴク飲むのは控えて、温かく消化のよいものを食べるようにしましょう。食欲のないときは無理にたべようとしないで、くず湯や甘酒をおすすめします。消化がよく、やさしい甘みで体も温まります。また夏の紫外線や汗により肌荒れや抜け毛も増える時期なので、ビタミン、ミネラル類をしっかり摂るよう心がけて。かぼちゃ、じゃがいも、さつまいも、ごぼう、にんじん、れんこんなどの根菜類、しいたけ、まいたけ、きくらげなどのきのこ類たっぷりのスープはいかがですか。豚肉に多いビタミンB1や、鶏胸肉に含まれるイミダペプチドというアミノ酸には、疲労回復効果があるのでおすすめの食材です。またサンマ、サバ、サケなどの魚類で免疫力をアップしましょう。
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 食欲の秋、スポーツの秋、芸術の秋・・・なにをするにも良い季節です。また寒い冬に備え体調を整える時期でもあります。夏バテから秋バテへ疲労を引きずって慢性化させないよう、生活習慣を少しずつ変えていきましょう。そして来年は秋バテにならないよう、夏の過ごし方を心得ておくとよいですね。