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栄養レシピ&コラム 2016年公開分
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こんなに違う!関東と関西の食文化

こんなに違う!関東と関西の食文化

 テレビや雑誌で紹介されるいろいろな食べ物を見て、あれ?自分の地域と違う・・・と思われた経験はありませんか?南北に長く、気候も文化も地域性がある日本では、関東と関西でおなじ食べ物でも違いがあります。
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・うどん、そばのつゆ

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 関東と関西の料理の違いとしてよく知られているのは、うどんやそばのつゆ(だし)でしょうか。一般的に関西のつゆは透き通っていますが、関東はしょうゆの濃い茶色です。自分の地域との違いに驚いた方もいらっしゃるかもしれません。
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 同じつゆなのに、どうしてここまで違うものになったのでしょうか。由来は江戸時代までさかのぼります。徳川家康が江戸幕府を開く以前、農村地だった現在の東京には、農民や武士など、肉体労働をする男性が多かったそうです。疲労がたまると、濃い味付けのものが好まれます。また濃口しょうゆの開発や、当時貴重だった砂糖がよく使用されたことも加わり、甘辛く濃い味付けの料理が発展しました。
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 一方関西では、商人や貴人など肉体労働の少ない人々が食文化の中心でした。砂糖を比較的使わず、濃口に対して淡口しょうゆが多く使われ、素材の味や色彩を生かす料理が好まれ、発展しました。
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 また関東は硬水で、ミネラルを多く含む水なので、昆布からのだしが取りにくく、それを補うためにコクのあるかつお節も用いられ、さらにしょうゆの味を濃くしたつゆになりました。関西は軟水で、昆布からしっかりだしが取れたため、調味料を抑え、だしの味を主役にしたつゆになったようです。
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・桜もち

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 春を代表する和菓子の一つ、桜もち。桜もちと聞くと、私はもちもち、つぶつぶした生地であんこを包んだ、おはぎのような丸い形を思い浮かべますが、みなさんはどうですか?
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 関東風の桜もちは、長命寺の桜もちともいわれます。江戸時代に、長命寺の門番が、たくさんある桜の葉の使い道として、桜の葉を塩漬けにし、小麦粉を溶いて作った生地をクレープのように薄く伸ばして焼き、あんこをはさんで桜の葉でくるんだ桜もちを考案しました。
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 関西風は、道明寺とも呼ばれ、蒸したもち米を乾燥させて砕いた道明寺粉で生地を作り、あんこを包んだまんじゅう型のもの。もちもちとした食感が楽しめます。食べ比べてみて、見た目や食感の違いを楽しんでみてください。
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 ちなみに桜の葉の独特な香りは、クマリンという香り成分によるもので、桜の葉を塩漬けにすることで葉が発酵し生み出されるそうです。関東風と関西風、どちらの桜もちも手作りすることができるので、春になったらお花見のお供にぜひどうぞ。(参考:栄養レシピ「桜もち」)
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・ねぎ

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 ねぎは8世紀頃に中国から日本に伝わり、比較的涼しい関東では、寒さに強い根深ねぎ(白ねぎ)、暖かい関西では暑さに強い葉ねぎ(青ねぎ)が栽培されるようになりました。そのため、ねぎといえば、関東では根深ねぎ、関西では葉ねぎを指すことが多いようです。現在ではどちらのねぎも全国どこのスーパーでも購入することができますが、群馬の下仁田ねぎや京都の九条ねぎなどは、ご当地ブランドとして地域の特産品にもなっています。
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 どちらのねぎにも風邪予防に有効なビタミンやミネラルが豊富で、食欲を増す硫化アリルなどの栄養が含まれるため、冬には鍋に入れたりしてたっぷり食べたい野菜の一つですね。
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 ほかにも地域で異なる食文化がいろいろあります。旅行やおでかけされたときに、探してみるとおもしろいかもしれません。流通や交通網の発達で、全国各地の食べ物が手軽に手に入るいまだからこそ、それぞれの土地で発展してきた、個性豊かな日本の食文化の歴史に思いを巡らせたいものですね。