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栄養レシピ&コラム 2016年公開分
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ミツバチからの恩恵

ミツバチからの恩恵

 みなさんは日頃はちみつを食べられていますか?最近では、はちみつを使ったスイーツや料理、はちみつ専門店などもよく見かけます。
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 はちみつの歴史はとても古く、イギリスには「はちみつの歴史は人類の歴史」という古いことわざもあるほど、神聖な食べ物としてとても大切にされてきました。西洋では紀元前6000年前頃から、日本では600年代には養蜂が行われていたという記述があるそうです。一般的に食べられるようになったのは、明治時代に入ってから。養蜂に適した西洋ミツバチが輸入されたことで全国に広がりました。
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 はちみつは、ご存知の通り、ミツバチが集めた花の蜜からできています。しかし、花の蜜そのものではありません。
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 まず、蜜を採集する係のミツバチが、一度におよそ500もの花から蜜を集め、お腹いっぱいに溜めて巣に持ち帰ります。持ち帰られた蜜は貯蔵係のミツバチに移され、その後水分の発散が行われるのですが、このときミツバチの体内の酵素のはたらきにより、蜜の主成分であるショ糖が、ブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)に分解されます。さらにミツバチが羽を羽ばたかせることによって、3~4日をかけて水分が蒸発し、ようやくはちみつが完成します。
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 このように花の蜜がミツバチによって貯蔵・加工されることによって作られているため、はちみつには花の蜜には本来含まれない物質も混入しています。その中には、ローヤルゼリーなどの健康によいとされる成分も含まれますが、未知の物質もあるようです。
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 はちみつは、花の種類によって味わいや香りが全く異なります。日本ではレンゲ、アカシア(ニセアカシア)、トチ、みかんがポピュラーですね。変わり種では、ソバや栗、ラベンダーにコーヒーなども。私も以前、はちみつ専門店で数種類のはちみつを食べ比べてみましたが、ソバのはちみつの色の濃さ、味わいには衝撃を受けました・・・。機会があればぜひ食べ比べてみてください。
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 はちみつは、20%が水分、残りの80%は主に糖分です。はちみつの糖分は、約40%がブドウ糖、約50%が果糖で構成されています。ブドウ糖・果糖は単糖類と呼ばれるもので、これ以上体内で分解される必要がないため、効率よく体や脳のエネルギー源になります。食後20分で吸収されるので、疲れているときや、胃腸が弱っているときにもおすすめです。レモンのはちみつ漬けは、はちみつに含まれる糖分と、レモンのクエン酸の疲労回復効果で、運動後にぴったりですね。
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 果物やヨーグルト、パンにかけたり、紅茶に入れて食べるほかにも、はちみつを料理に使うとメリットがたくさんあります。はちみつは砂糖に比べて、甘味度(甘みの強さ)が高く、砂糖よりも少ない量で甘味を感じられるため、使用量を抑えることができます。また砂糖が100g当たり384kcalなのに対して、はちみつは294kcal とエネルギーも控えめ。砂糖の代わりに料理に使うと、はちみつ独特の風味とコクが加わり、煮物や照り焼きは照りがでるので、おいしそうに仕上げることができます。うすい色のはちみつはクセが少なく、どんな料理にも合わせやすいのでおすすめです。
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 ただし、ボツリヌス菌が入っている可能性があるため、胃腸が未発達な1歳未満の乳幼児には与えないでください。
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 購入する際は、水あめなどが添加されていない100%純正なはちみつで、極端に安価なものを避けて選びましょう。中でも加熱処理されていない生のはちみつ(ローハニー)には、ビタミンやミネラルなども含まれています。
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 ちなみに1匹のミツバチが一生かけて作るはちみつは、ティースプーン1杯分だそうです。ミツバチたちの頑張りを思うと、はちみつのおいしさがより一層増す気がしますね。花の違いで異なる風味を楽しみながら、お気に入りを探してみてください。