春にんじんの味わい
暖かい春を迎え、新じゃが、新たまねぎ、新ごぼうなど、一年中食べられる野菜もこの時期ならではの味わいを楽しめます。にんじんもそのひとつで、春にんじんは寒い冬の間にじっくり甘味を蓄え、やわらかくて瑞々しいのが特徴、サラダや和え物にすると美味しさが際立ちます。
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にんじんの原産地はアフガニスタン、東西に広がり、濃い紅色の東洋種とオレンジ色の西洋種ができました。日本には江戸時代にアジア東方から中国を経て東洋種が伝わり、明治に入ってから西洋種が広まりました。かつては東洋種の「金時にんじん」が主流でしたが、現在ではほとんどが栽培しやすく収量も多い西洋種の「五寸にんじん」となっています。金時にんじんはお正月用として出回るほか、京にんじんとしてブランド野菜となりました。
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20数年前は、子供の嫌いな野菜の上位だったにんじん、近年の調査では好きな野菜のトップ10に入るように。金時にんじんの濃くてクセの強い味が、子供にとっては食べにくかったのでしょうか。西洋種が主流になり、また品種改良がすすんで、独特の香りやクセが減り、甘味が増したことで子供にも人気の野菜になりました。
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にんじんに含まれる栄養素の中で、いちばんの注目はカロテンです。緑黄色野菜の中でも特に多く含まれています。カロテンは皮膚や粘膜を正常に保つ働きをし、感染症を予防したり免疫力を高める効果があります。また強い抗酸化力があり、ガンや心臓病、動脈硬化予防、老化などの抑制に働きます。カロテンは皮に近い方に多いので、できるだけ皮をむかずに食べる方がよいです。さらに油に溶け出しやすいので、油といっしょに調理するとカロテンの吸収率がアップします。ちなみに英語のキャロットの語源はカロテンからきています。金時にんじんは西洋種に比べるとカロテンはやや少ないものの、濃い紅色の色素はリコピンが主体。その他、ビタミンB1、B2、Cや食物繊維なども含まれる優秀な緑黄色野菜です。
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一方でにんじんにはアスコルビナーゼというビタミンCを壊す(酸化する)酵素が含まれています。この酵素は切ったり、おろして空気に触れると働き出し、にんじん自体や他の野菜のビタミンCを破壊し始めます。ただし熱や酸を加えるとその働きが抑えられるので、加熱して食べるときは問題ありません。サラダなどで生食する時は、酢やレモンなどの酸を加えるようにするとよいです。最近は家庭で作る生野菜や果物のジュースやスムージーが流行っていますが、にんじんを入れるときは、レモン汁を加えるようにすれば安心です。
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にんじんを選ぶときは、色鮮やかで表面がなめらかでハリのあるものを、新聞紙に包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に立てて保存を。湿っていると傷みやすいので、汗をかいている場合はこまめに拭き取るようにしましょう。使いかけはしっかりとラップにくるみ乾燥させないようにして。
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にんじんを使ったおすすめメニューをひとつ紹介します。すりおろしたにんじんを炊飯器で米といっしょに炊くだけ、ほんのりオレンジ色のご飯が出来上がり、にんじん嫌いの方でもとっても食べやすいです。カレーライスにはそのままで、卵やツナ缶、グリンピースなどとチャーハンにすれば彩りもきれいで栄養価もアップ。米3合に対してにんじん1/2本が目安、とても簡単なのでぜひ作ってみてください。