雑穀のチカラ
雑穀とは、日本人が主食として食べる白米以外の穀物のことです。穀物は主穀、雑穀、菽穀(しゅくこく)、擬穀(ぎこく)に分類されます。主穀はイネ科植物のイネ、ムギ、トウモロコシ。雑穀はイネ科植物の中でも、小粒のヒエ、アワ、キビなどの総称。菽穀はアズキやダイズなどの豆類。擬穀はソバ、キヌア、アマランサスなどですが、一般的にはキビやアワなど本来雑穀として分類されるもののほかに、大麦やキヌア、アズキ、さらに玄米や赤米も含めて広く雑穀と呼ばれています。
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近年、雑穀に白米にはない様々な栄養素が含まれることが知られるようになり、私たちの健康をサポートしてくれる食材として注目が集まっています。種類も様々ですが、中でもよく食べられているものをご紹介します。
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【1】大麦
精麦した大麦が丸麦、丸麦を蒸してローラーでつぶしたのが押し麦です。もちもち、ぷちぷちした食感が特徴で、味はクセがなく食べやすいです。雑穀の中でも食物繊維に富み、その量は白米の約20倍!水溶性食物繊維も多く含まれるので、脂質や糖質の吸収を抑えたり、腸内環境を整えてくれます。最近話題のもち麦は、もちもちした食感と、豊富な食物繊維が特徴です。
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【2】キビ
ビタミンB1、ビタミンB6、亜鉛が豊富です。小粒で甘みとコクがあり、白米と一緒に炊くと、赤飯のような色が付きます。
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【3】アワ
キビより小粒で、ぷちぷちとした食感と淡い黄色が特徴。クセがなくあっさりとしています。ビタミンB1、亜鉛が豊富です。
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【4】キヌア
NASAが「21世紀の主食になる」と発表したことで話題になりました。カルシウムや鉄、食物繊維に富みます。
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【5】アマランサス
小さい黄色の粒状で、ぷちぷちした食感。「スーパーグレイン(驚異の穀物)」と呼ばれるほど栄養豊富です。カルシウムと鉄は白米の約10倍、食物繊維は15倍、ほかにもカリウムや亜鉛などを豊富に含みます。
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【6】黒米
白米と一緒に炊くと、濃い紫色が出ます。色素のアントシアニンは、動脈硬化やガンを予防する効果が期待されます。
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多くの雑穀に含まれる豊富な食物繊維は、食後の血糖値の急激な上昇を抑えたり、腸内環境を整え、便秘や下痢の改善につながります。さらに雑穀は白米よりも噛み応えがあるので、噛む回数が増えることで満腹感が得られやすい、またビタミンやミネラルを補うことができるなど、多くのメリットがあります。
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雑穀を毎日の食卓で手軽に食べるには、やはり雑穀ごはんがおすすめです。普通の白米を炊くときと同様に米を洗って炊飯釜に入れ、さらに雑穀を加えて軽く混ぜます。通常の水加減でも炊けますが、雑穀と同量程度の水を加えると、時間が経ってもパサつきにくく、おいしく食べられます。雑穀が苦手な方や胃腸の弱い方は、アワやヒエといった小粒の雑穀だと取り入れやすく、消化もいいのでおすすめです。チャーハンやリゾットにすれば、雑穀も具材の一つとして食べやすくなります。冷凍も可能なので、一度にたくさん炊いて保存することもできます。
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長い歴史の中で主食が白米になったのは、戦後からの数十年と短く、私たち日本人の食生活を支えてきたのは生命力が強く、やせた土地でも育ち、生育期間も短い雑穀でした。飽食の時代といわれるいま、再び雑穀の力を借りて、健康な食生活を送りたいですね。