「もしも」に備える
7月になりましたが、各地で大雨が降り、洪水や土砂崩れなどの自然災害のニュースを耳にすることも少なくありません。先日の熊本地震の際も、道路・ガス・電気・水道といったライフラインがストップし、被災された方の食料や救援物資の供給が問題となっていました。日本は自然災害の多い国です。いつどこで、災害に巻き込まれるか分かりません。もしものときに備えて準備をしておくことが大切です。
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ライフラインがストップすると、食料や救援物資が届くまでに数日かかると言われており、そのためにも3日分(朝晩2食×3日分×家族の人数)を目安に食料を備蓄するのがベストです。しかし、備蓄といっても何を用意すればいいかわからないという方も多いのではないでしょうか。今回は非常食を準備するときのポイントをご紹介します。
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■水の確保
私たちは1日におよそ1.2リットルを水やお茶などの液体から、1リットルを食品から水分を摂取しています。災害時には、食事が十分に摂れなかったり、トイレの回数を気にして水を控える方も多いため、脱水症のリスクが高まります。また、薬を飲むためにも水は必要です。1日1人3リットルを目安に、十分に備蓄しておきましょう。脱水症に備えて、体内への吸収が速い経口補水液も一緒に常備しておくと、災害時だけでなく、風邪を引いて家から出られないときなどにも重宝します。
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■ローリングストックする
「ローリングストック」は、普段食べているものを多めに買い置きし、賞味期限が切れる前に食べて、新たに補充する、備蓄(ストック)を回転(ローリング)させる備蓄法のことです。非常食向けに作られた食品を備蓄するのもよいですが、賞味期限が長いからと放置しがちで、いざというときに期限が切れていた、ということもあるかもしれません。ツナ缶などの缶詰やレトルトのおかずを準備し、期限に応じて1か月~1年に一度食べる日を決めれば、味の濃さや好み、硬くて食べづらくないかなどを確かめられるので、同じものを買い足すか、違うものにするかを決める際の参考にすることができます。災害やトラブルによるストレスや不安で、食欲がわかないこともあるかもしれません。自分が食べて、おいしいと思えるものを準備することがとても大切です。
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■野菜や果物の加工品も準備する
非常食や救援物資のみの食事が続くと、どうしても栄養が偏りがちになります。とくに、ビタミン・ミネラルや食物せんいが不足しやすく、免疫力が低下して風邪や感染症にかかりやすくなったり、便秘になったりするケースが多くみられます。備蓄の中に、野菜ジュース缶や、ミカン缶やモモ缶などのフルーツの缶詰もプラスするのがおすすめです。
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最近では、水を入れるだけで食べられるアルファ化米や、缶入りのやわらかいパンなど、加熱調理の必要がなく、そのまま食べられる様々な食品が販売されていますが、一番大切なのは、「自分や家族にとって食べやすいかどうか」です。とくに食物アレルギーのある方、妊婦の方、乳幼児や高齢者、持病のある方は、特別な配慮がいります。すぐには手に入りづらいもの、必要になりそうなものはいつでも持ち出せるように、多めに準備しておきましょう。薬を飲んでいる方は、お薬手帳があると、自分がどのような薬を、どれだけ飲んでいたかが分かるので安心です。
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自然災害は、いつどこで起こるかわかりません。すでに起きてしまった災害から学び、いざというときのために、自分や家族の命、生活を守り、被害を最小限に抑え、少しでも心に余裕を持てるよう、災害や備蓄について考える時間を設けてみませんか?