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栄養レシピ&コラム 2018年公開分
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完全栄養食品 卵

完全栄養食品 卵

 卵焼き、目玉焼き、オムレツ、茶碗蒸し、親子丼・・・あなたはどんな卵料理が好きですか?
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 ヒヨコに成長するために必要な多くの栄養素を含む卵は、完全栄養食品といわれます。なかでも良質なたんぱく質が豊富で、必須アミノ酸(人間の体内では合成することができない8種類のアミノ酸で、食事からとる必要がある。)をバランスよく含んでいます。ビタミン類は、A、B群、D、E、Kを含み、カルシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、マグネシウム、亜鉛、銅などのミネラル類も含まれます。ビタミンCと食物せんい以外のすべての栄養素を含んでいることが、完全栄養食品といわれる理由でしょう。ビタミンCと食物せんいを補える野菜などといっしょに食べるとより完璧になります。
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 ただ卵には脂質やコレステロールが多いと敬遠されることがあります。コレステロールは脳や神経組織、肝臓などに広く存在します。細胞膜の構成成分のひとつであり、胆汁酸やホルモンなどの原料にもなります。なにかと悪者扱いされがちですが、善玉と悪玉の両方のコレステロールが、私たちの体内にバランスよく存在しなければならない大切なものです。
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 卵のコレステロールは、ほとんどが卵黄に含まれますが、コレステロールを下げる働きがあるレシチンという物質も併せ持っています。レシチンはリン脂質という脂質の一種で、細胞膜や神経組織の構成成分であり、脳や肝臓の細胞膜にも多く含まれています。レシチンに含まれるコリンという成分には、脳を活性化させ、老化予防効果があるといわれています。また動脈硬化、脂肪肝、高血圧などの予防効果も期待されます。
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 卵1個あたりのコレステロールは約250mgと決して少ないとはいえませんが、レシチンの作用や、動脈硬化予防に効果のある不飽和脂肪酸を含んでいることからみても、卵がコレステロールを上昇させる原因にはなりません。健康な人であれば、1日に1~2個の卵を食べても問題ありません。
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 ところで、殻が白い卵と赤褐色の卵では、赤褐色の方が栄養価が高いと思われがちですが、特別に栄養価を高めた卵(ヨード卵、ビタミン強化卵など)を除いては、その差はほとんどありません。色の違いは鶏の種類によるもの。卵黄の色についても同じで、鶏が食べるエサの配合や季節によって違ってきます。
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 卵かけご飯が好きな方も多いと思いますが、世界的にみて生卵を食べるのはとても珍しいようです。ビタミンB群のように熱に弱い栄養素もあるので、生で食べる方が栄養面からみるとよいものの、半熟状に加熱した方が消化吸収はよくなります。
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 卵黄がほぼ固まり、卵白が半熟状の温泉卵は、やわらかく消化もよいので、小さい子供から高齢者までおすすめです。卵黄は60~65℃、卵白は70~75℃位から固まり始めるので、卵を60~70℃で30分ほど加熱すると温泉卵が出来ます。家で簡単に作るには、1000mlの沸騰した湯に水を400ml加えた中に、室温に戻した卵を入れてふたをし、20~30分おく。または大きめで厚手のどんぶりに卵を入れ、熱湯をかぶるくらい注いでふたをし、冷めるまでおいておくと出来上がります。卵の数や室温などによって多少の違いがあるので、何度か試してみてちょうどよい加減を見つけてください。そのままでも、サラダや麺類にのせたり、みそ汁に入れたりと食べ方も広がります。
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 半熟のゆで卵を作ろうとすると、いつも加熱しすぎてよく失敗をします。水から卵を入れて火にかけたら、沸騰後3分でやわらかめの半熟(殻は卵白にくっついてむきにくい。)、5分で卵黄が固まりかけ、まん中がとろっと半熟、8分で卵黄がパサつかない程度の固ゆでに、これを越すとパサパサと食べにくいゆで卵になってしまいます。失敗しないためには、きちんと時間をはかるのが賢明ですね。出来上がったらすぐに流水で冷やすと、予熱で固くならず殻もむきやすくなります。
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 料理の主役にも脇役にもなり、菓子や調味料、加工品まで欠かすことはできない卵、しかも栄養豊富で安価、もし卵がなくなったら、とても寂しい食卓になることでしょう。