5月5日は「わかめの日」
当病院を囲む山々も若葉が茂り、過ごしやすい季節になりました。5月5日といえば、「こどもの日」ですが、「わかめの日」でもあることをご存知ですか?
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こどもの成長や発育に欠かせない栄養を含んだワカメを食べてもらおうと、日本わかめ協会が昭和58年に制定しました。春から初夏にかけワカメの採取が一段落し、新ワカメが市場に出回るようになり春を感じることができます。今回は昔から日本の食卓に欠かすことのできないワカメを紹介します。
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ワカメは赤褐色の色素を多く含む褐藻類で、日本の沿岸に広く生育しています。深い海中の岩の上に付着し、約1年かけて1~2mに成長します。昔は天然に生育しているものを採取していましたが、安定的に供給するため昭和30年頃から東北地方で栽培が始められ、その後日本各地でも養殖が普及しました。
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ワカメは、「葉」「茎」「根元」からなり、部位によって呼び名が異なります。ワカメとして流通しているのは葉の部分で、手軽で保存がきくカットワカメは、汁物やサラダなどよく食べてられていますね。茎はコリコリとした歯ごたえが特徴で、茎ワカメとして漬物やおつまみなどに加工されます。根元はワカメの元となる胞子が育つ場所で、厚く折り重なりヒダ状になっています。小さく刻むことによりヌメリが増し、めかぶとして酢物などでお馴染みです。
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ワカメは海の野菜とも呼ばれミネラル豊富な海水を吸収して育つため、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養を多く含んでいます。
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注目されるのが食物繊維の一種、フコイダンとアルギン酸です。粘度と保水性があるのが特徴で、特にめかぶに多く含まれています。食後の血糖値の急な上昇を抑えたり、血液中のコレステロール値を減少させる働きがあります。また、粘膜を保護する作用も期待できます。胃がんや胃潰瘍の原因とされるピロリ菌が、胃壁に付着するのを防ぎ、菌を腸へ押し流してくれたり、タバコのタールによって傷ついた肺の粘膜を保護したり、再生を助ける働きもしてくれます。
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縄文時代の遺跡から発見され、日本人は古くからワカメを食べていましたが、おとなり韓国での消費量は日本の3倍で、ワカメの消費大国です。韓国では身体の体質にもっともよい弱酸性に保ち、血液をきれいにするといわれており、出産後の女性に回復食としてワカメを毎日食べさせるそうです。血液を濃くし母乳の出をよくするとされ、出産祝いにワカメを送る習慣があります。また、自分を産んでくれた母への感謝の気持ちを忘れないため、誕生日にはワカメスープを食べます。韓国にとってワカメは、日本以上に特別な食材として扱われていることがうかがえます。
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乾燥や塩漬けにしたワカメは一年中食べることができますが、生のワカメはこの時期にしか味わえない旬の食材です。サラダやみそ汁、旬の時期が同じ筍と一緒に煮た若竹煮など、栄養豊富なワカメを食べて残り少ない春を堪能したいですね。