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栄養レシピ&コラム 2018年公開分
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発酵の力 納豆

発酵の力 納豆

 腸内環境を改善、抗酸化作用など、健康に有効と注目される発酵食、なかでもネバネバと強烈なにおいの納豆は好みの分かれるところです。日本発祥の納豆は、平安時代にはすでに存在していたそうです。そんな発酵食、納豆の栄養や効能を紹介します。
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 納豆の原料はご存知のとおり大豆です。大豆の栄養は、なんといっても良質の植物性たんぱく質が豊富に含まれること。そして注目されるのがイソフラボン、胚芽に多く含まれ、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをし、骨粗しょう症や更年期障害の予防などに効果があります。また抗酸化作用があり、老化防止やアンチエイジング効果も。コレステロールの抑制や免疫力を高める効果も期待できます。
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 その他にもコレステロール値の上昇を抑制し、中性脂肪や血圧を低下させる効果を持つサポニン、記憶力向上や認知症予防効果が期待されるレシチンなどを含んでいます。とても優秀な大豆ですが、発酵して納豆になると、さらに体によい成分がプラスされます。
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 大豆を水に浸して戻し、やわらかく蒸し、納豆菌をつけて40℃前後で発酵させると、あのにおいとネバネバと糸を引く納豆になります。納豆菌は枯草菌の一種で、とても多くの酵素を作り出します。この酵素が大豆のたんぱく質や脂質を分解し、さまざまな有効成分を生み出すのです。
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 その酵素のひとつ・ナットウキナーゼは納豆にしか含まれません。血栓を予防し、溶かす効果、いわゆる血液サラサラ効果で動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などの予防効果があるとされます。ネバネバのもとはポリグルタミン酸、吸水力が高く便通の改善やカルシウムの吸収を促進。よくかき混ぜると、グルタミン酸に分離し旨味が増します。発酵の際にできるジピコリン酸には、腸内環境を改善する効果があります。
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 また大豆には少ないビタミンKですが、納豆菌によって生成され、とても多くなります。ビタミンKは骨の形成を促し、カルシウムの吸収をアップさせる働きがあるので、成長期にはもちろん、骨粗しょう症の予防にも。とくにひきわり納豆には、粒納豆の約1.5倍のビタミンKが含まれます。カルシウムを含む食品と組み合わせて、ネバネバが強いほど効率よく吸収されるので、よくかき混ぜてから食べるとよいです。ただしワーファリンなどの血栓を溶かす薬を服用されている方は注意が必要です。ビタミンKには止血を助ける効果があり、薬の作用が弱まってしまうため、納豆は食べてはいけないとされます。納豆との食べ合わせは医師の指示を守ってください。
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 その他にも、ビタミンB2は発酵して納豆になると、含有量は2~4倍に増えます。納豆パワーには驚きですが、食べるときに気をつけたいことがあります。ナットウキナーゼは熱に弱く、70℃位で死滅してしまいます。アツアツのご飯に納豆は定番ですが、少し冷ましてから合わせるようにしましょう。また卵白に含まれるアビジンという成分が、納豆のビオチンという美肌効果のある成分を吸収しにくくするので、生卵を混ぜるときは卵黄だけにする方がよいです。
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 ご飯に合わせるだけでなく、冷や奴やそうめんにのせても美味しいですし、オクラや山芋と混ぜて、さらにネバネバも栄養もアップ。ひきわり納豆にオリーブ油などを混ぜてドレッシングにするのもおすすめです。種類も豊富で価格も手頃、ぜひ納豆を冷蔵庫に常備しておきましょう。