海のミルク 牡蠣
冬の味覚といえば皆さんは何を思い浮かべますか?当病院のある広島県の冬の味覚といえば、日本の生産量一位を誇る牡蠣ではないでしょうか。濃厚な味わいでまさに今が旬の牡蠣を紹介します。
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「海のミルク」と呼ばれ栄養がたっぷり詰まっていることは広く知られている牡蠣。幅広く栄養素を含み、日本人が不足しやすいミネラルが豊富に含まれています。
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特に亜鉛は、全食品の中で牡蠣に一番多く含まれています。タンパク質の合成や骨の発育などに欠かせない必須ミネラルのひとつでもある亜鉛は、新陳代謝を活性化し免疫力を高めるため、風邪や感染症の予防に効果があります。
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また、血液を作るうえで必要な鉄、銅、ビタミンB12もバランスよく含まれています。鉄は血液の成分となり、銅、ビタミンB12は鉄の吸収を助ける働きがあります。牡蠣を食べることにより、これらの栄養素を同時に摂取でき、貧血の改善、予防にも効果があります。
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さらに注目したいのが、アミノ酸の一種でもあるタウリンです。イカやタコの倍以上の含有量があり、肝臓の機能を正常に保ち、血中コレステロールや中性脂肪を下げる働きがあります。また、体内でアルコールの解毒を助けてくれるので、酒のつまみに牡蠣を食べることで二日酔いの予防にも効果的です。タウリンは水によく溶ける性質があるため、煮汁ごと一緒に食べられる牡蠣鍋や吸い物など、タウリンがより一層摂取できておすすめです。
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スーパーで売られている牡蠣には、加熱用と生食用の表示があります。鮮度の違いと思っている方も多いかもしれませんが、実は両方とも鮮度に違いはありません。その違いは養殖する際、指定された海域によって区別されています。
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牡蠣は一日300リットルもの海水を吸い込み成分を吸収して成長しています。そのため海域の海水に含まれている様々な成分を体内に保有することになります。生食用は保健所が定めた、生活用水が届かない陸地から離れた沖合の指定海域で養殖され、基準をクリアしたものしか生食用の表示はできません。一方、加熱用は特に海域の指定はなく山や陸地から近い海域で養殖されています。そのため輸送コストも低く、また餌となるプランクトンも豊富なため、旨味や栄養素が多く含まれています。
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牡蠣を食べる際「牡蠣にあたる」という話はよく聞かれます。冬場の牡蠣にあたる人が多いのは、ノロウイルスの感染が原因とされ、食べて1~2日後から嘔吐、腹痛、発熱などの症状が現れます。ノロウイルスは下水の影響がある河口などの海域に浮遊し、海水10℃以下で活発になります。そのため大量に海水を吸い込む牡蠣はノロウイルスを保有し冬場に流行します。
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しかし、注意して食べれば、あたることなく美味しく食べることができます。ノロウイルスは85℃~90℃で90秒以上加熱すると死滅します。加熱用の牡蠣を食べる際は中心部までしっかり加熱しましょう。また、調理で使った器具にもウイルスが付着している可能性があるので、調理後には加熱消毒などして器具の取り扱いにも注意が必要です。
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英語圏では、「Rのつかない月は牡蠣を食べるな」といわれています。理由はRのつかない5月から8月までの間、牡蠣は産卵期に入り身が水っぽくなり味や風味が落ちるからです。
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栄養たっぷりでフライ、グラタン、中華炒めなど、和洋中を問わずどんな料理とも相性が良い牡蠣、色々な料理で是非味わってみてください。