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栄養レシピ&コラム 2019年公開分
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夏バテをしないために

夏バテをしないために

 梅雨特有の湿度の高さに加え、日毎に気温も上昇してきました。夏のような暑さから一転、朝晩の冷え込みや梅雨寒の日が訪れることもあり、気温の変化も心身に堪えます。これから梅雨が明け、暑さも本格的になります。少しでも体力を維持し、夏バテにならないよう、食生活で気をつけたいポイントをまとめてみました。
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 そもそも夏バテとは、湿度や気温の急激な変化に体がついていけず、自律神経のバランスが崩れ、体がだるい、食欲がない、疲れやすいといった身体の不調が現れます。空調設備が普及した現代では、暑い屋外とエアコンの効いた室内を出入りする生活で、より自律神経が乱れやすくなったようです。私たちの体は体温が上がると、皮膚表面の血管を広げ、血液量を多く流れるようにし、皮膚の汗腺から汗を出して体温を下げようとします。このとき心拍数が増すため、また発汗で水分が奪われて、血液の粘度が増すため、心臓はより一層機能しなければならず、多くのエネルギーを必要とします。
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 糖質や脂質を燃やしてエネルギーを生産していますが、この燃焼に必要なのがビタミンB群です。暑いとどうしても冷たいジュースやアイスクリーム、フルーツ、食事もあっさりとした、そうめんやざるそばなどの麺類など、糖質に偏ったものになりがちです。糖質を多く摂ることで、ビタミンB群、特にB1、B2の消費が増え、発汗での排出もあるため、より不足気味になります。不足すると、脳の働きが低下し、集中力が落ちたり、疲れやすくなったりします。
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 さらに暑さによって、心身のストレスが溜まり、ビタミンCの消費も増えます。また、冷たいものの摂り過ぎは、胃腸の消化吸収機能を低下させ、偏った食事ではたんぱく質やビタミン、ミネラル不足となり、さらに疲労感や食欲不振が増すといった悪循環に陥りやすくなります。
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 そこで夏バテ予防の食事の基本は、肉類、魚介類、卵、大豆製品、乳製品などのたんぱく質を含む食材をきちんと摂ること。たんぱく質はエネルギー源として、また筋肉や血液を造り、疲労回復効果もあります。なかでも豚肉やウナギ、カツオ、マグロ、枝豆などにはビタミンB1が多く含まれるのでおすすめです。
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 夏野菜のトマト、ピーマン、パプリカ、オクラ、ゴーヤ、きゅうり、なす、かぼちゃ、モロヘイヤなどには、β-カロテン、ビタミンC、Eなどのビタミンを豊富に含んでおり、また体温を下げる効果のあるカリウムをはじめ、カルシウム、鉄などのミネラル、食物せんいを含み、体の調子を整えてくれます。数種類の夏野菜を組み合わせてしっかり摂りましょう。
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 そして、クエン酸は疲労回復効果があり、またビタミンB1の働きを助けるので、酢や梅干し、かんきつ類なども積極的に食事に取り入れましょう。酸味は食欲増進効果も期待できます。
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 そうめん、ざるそば、冷麺は麺だけでなく、トッピングにひと工夫を。豚肉や牛肉のしゃぶしゃぶ、トマトやきゅうり、オクラなどの野菜をのせ、薬味にねぎ、しょうが、しその葉、みょうがなど加えれば一品で栄養バランスのとれた食事になります。冷ややっこには、肉みそ、山芋とオクラの刻んだものや納豆をのせると栄養アップに。野菜サラダには、枝豆やミックスビーンズ、しらす干し、海藻を加えて、サラダチキンやツナ缶も手軽でいいですね。ドレッシングに梅干しやレモン、香辛料などを使えば食欲増進も。
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 もちろん、水分補給は冷たい飲み物だけでなく、常温や温かいものも取り入れ、胃腸を冷やし過ぎないように注意が必要です。こまめな水分摂取とバランスのよい食事を心がけて、夏バテすることなく夏を乗りきりましょう。