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栄養レシピ&コラム 2019年公開分
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腸のお掃除役 こんにゃく

腸のお掃除役 こんにゃく

 「お腹の砂おろし」とも呼ばれ、体を掃除してくれる食材として昔から重宝されているこんにゃく。ヘルシーでダイエットにも効果があることから、海外では密かなこんにゃくブームが起こっているようです。プリプリとした食感は味のアクセントやおかずのボリュームアップになります。アレンジ自在で家計にもやさしい食材です。
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 こんにゃくはさといもの仲間で、こんにゃく芋を原料とした加工品です。こんにゃく芋は東南アジアが原産国の植物で、中国、韓国などアジア各国を中心に栽培されています。国内で消費されているこんにゃく芋の9割は日本産で、そのほとんどが群馬県で生産されています。
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 季節を問わずいつでも手に入るこんにゃくですが、昔はこんにゃく芋が採れる11月~1月の寒い時期にしかこんにゃくを食べることができませんでした。こんにゃく芋は葉が傷つくだけでも病気になるほどデリケートな植物で、収穫できるまでに3年も時間がかかります。そのため高級な食品として、貴族や僧侶の間でのみ薬品や間食として食べられていました。
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 江戸時代になり、こんにゃく芋を乾燥させて粉にした「精粉」からこんにゃくを作る製法が誕生しました。これにより一年を通してこんにゃく作りができ、また遠くまで運送が容易になったことで庶民にも普及し、おかずやおやつとしてより身近な食材になりました。
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 こんにゃくは、ほとんどが水分でできており、100gあたり7kcalと栄養価は高くありませんが、グルコマンナンという水溶性の食物せんいを含んでいます。グルコマンナンは人体に含まれる消化酵素では分解されず、こんにゃくに含まれている水分を維持しながら腸内を通過するため、腸内のバランスを整え、腸の働きをよくしてくれます。また腸内でコレステロールや糖分を包み込み吸収を阻害するため、血糖値やコレステロール値の抑制にも効果を発揮します。
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 こんにゃくを買う際、白いこんにゃくと黒いこんにゃくをみかけます。その違いは、精粉で作ると白いこんにゃくになり、生芋から作ると芋の皮が入ってしまうため黒っぽいこんにゃくになります。最近の黒こんにゃくは、精粉を使ったものがほとんどで、昔からのこんにゃくを見慣れている地方では、白いこんにゃくはあまり好まれません。そのため生芋から作るこんにゃくに似せるため、ヒジキなどの海藻の粉末を色付けとして入れ、黒いこんにゃくにしています。西日本では黒こんにゃく、東日本では白こんにゃくが好まれているようです。
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 こんにゃくを調理する際、アク抜きをしていますか?こんにゃくのアクとは、こんにゃく芋が持っているエグみや臭み成分と、こんにゃくを作る際に使われる凝固剤によってアクが発生します。最近ではアク抜き不要のこんにゃくも売られており、アク抜きをしなくても食べることはできますが、ひと手間かけることでおいしさが一層増します。
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 まず、料理に合わせてカットしたこんにゃくに、適量の塩を全体にまぶしそのまま5分ほどおきます。なべに湯を沸かし、塩がついたままのこんにゃくを入れて2~3分ほどゆでます。ゆであがったら水にはさらさず、ザルにあげ水気をとってから料理に使うと、余分な水分が抜け、味がしみ込みやすくなります。ぜひおためしください。
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 最近では、ご飯と一緒に炊き込むことでかさ増しさせる粒状のこんにゃくや、小麦粉麺のかわりとして、麺状のこんにゃくを使ったパスタやラーメンなど、さまざまなこんにゃくが登場しています。色々なかたちに進化しつつあるこんにゃく、これからも楽しみですね。