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今年注目度ナンバー1 タピオカ

今年注目度ナンバー1 タピオカ

12月に入り今年も残りわずかとなりました。この一年、様々な食べ物のブームがありましたが、一番注目を浴びた食べ物といえばタピオカではないでしょうか。タピオカミルクティー発祥の地でもある台湾から、人気店が日本に上陸したことから始まり、日本オリジナルのタピオカ専門店も続々と登場し、長蛇の列ができるほど若い人を中心に現在も人気が続いています。

 タピオカの原材料は「キャッサバ」といういもの一種です。原産地は南米で、じゃがいも、さつまいもに並ぶ世界三大いものひとつでもあります。さつもいものように細長いかたちをしており、中の果肉は白く、表面は茶色い硬い皮に覆われています。

 熱帯地域などで栽培されることが多く、気候や土壌環境が厳しい地域でも比較的簡単に栽培することができます。そのため世界的に生産量は多く、世界の主要食用作物として5位の大豆に次ぐ6位を誇り、アフリカ大陸などでは主食としてよく食べられています。

 キャッサバいもには青酸配糖体という有毒成分が含まれているため、十分な毒抜き処理をせずに食べると、嘔吐、めまいなど中毒症状を引き起こします。そのため食べる際には毒抜き作業が必要になります。毒の90%は皮に集中しているため、皮をしっかりと剥き、湯で2時間茹でた後、何回か水をとり変えながら一日かけて水にさらすして毒抜きをします。毒抜き方法も国により様々です。

 毒性が強いため、日本では生のキャッサバいもの輸入は禁止されており、毒抜き加工したものだけ輸入が許可されています。キャッサバいもは日本人には馴染みのない食材ですが、静岡、沖縄の一部の地域でのみ少量栽培されているようです。

 また、キャッサバいもには甘味種と苦味種があり、甘味種は比較的毒性は低く、茹でて食用として用いられ、味は甘味の少ないさつまいもに似ています。一方、苦味種は主にでんぷん加工品として用いられ、ブラジル発祥のパン、ポンデケージョやタピオカなどの材料に使われます。

 では、タピオカは一体どうやって作られているのでしょうか?

 タピオカはキャッサバいもの根茎から製造されたでんぷんから作られます。抽出されたでんぷんを水で溶き加熱し、特殊な容器に入れ回転させることで遠心力が働き丸い粒状に変化し、これを乾燥させたものがタピオカパールと呼ばれる食材になります。このタピオカパールを一晩水につけた後、茹でるともちっとした食感になります。タピオカパールは本来白い色をしていますが、タピオカドリンクに入っている黒いタピオカは、カラメル色素で着色されています。

 タピオカの原料となるキャッサバいもには、炭水化物のほか、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルが含まれていますが、タピオカに加工される段階で栄養分は主に炭水化物だけになってしまいます。エネルギーは茹でたタピオカ100gに対し62kcalと高くはありませんが、ミルクティーなど甘いものと組み合わせることが多いためエネルギーの摂り過ぎには注意が必要です。

 これだけ話題のタピオカドリンク、まだ飲んでいない方は今年最後に味わってみませんか。