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栄養レシピ&コラム 2020年公開分
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春の訪れ いちご

春の訪れ いちご

いちごが店頭に並びはじめると春の訪れを感じます。いちご味の商品も続々と登場し、この時期を待ちわびていた方もいることでしょう。そのまま食べるのはもちろん、牛乳や練乳と一緒に、真っ赤で甘酸っぱいいちごがのったケーキなど、子供からお年寄りまで幅広く人気がある果物です。

 いちごはバラ科の多年草で、江戸時代にオランダを経て渡来したことから別名オランダいちごとも呼ばれています。渡来した当時は、古来からある野いちごが親しまれており、いちごの赤い色が血を連想させるとし敬遠され、食用としては普及せず鑑賞用として扱われていました。その後、品種改良や育成が進められ、本格的な栽培が始まったことから明治時代に入り食用として食べられるようになりました。

 12月頃からいちごが多く出回るようになりますが、露地栽培のいちごは4月に花が咲き、5~6月に実が赤くなり食べ頃を迎えます。クリスマスケーキのデコレーション用や、年末年始の需要に合わせ促進栽培により、今では11月~6月と長い期間味わえるようになりました。

 洋菓子やジャムなど加工品としても世界中で人気がありますが、生食での消費量は日本が世界一ともいわれています。そのため新種の開発や栽培技術において日本は進んでおり、毎年新しい品種が誕生しています。品種は約300近くあり、甘味と酸味のバランスがよくジューシーな味わいの福岡のあまおう、酸味は控えめで甘味の強い栃木県のとちおとめや、珍しいものでは突然変異で誕生した白いいちごなどがあります。

 いちごの表面にあるたくさんの粒々を種だと思っていませんか?実はあの小さな粒々のひとつずつが果実になり、種はその粒々の果実のさらに中心部にあります。赤くて甘い部分はめしべのつけ根の茎の一部で、花托と呼ばれるものになります。果実以外の部分が大きく膨らむ果物を偽果といい、花托を果実のように見せることで、動物に食べてもらい排泄の際に種を遠くに運ばせ子孫を残すためともいわれています。

 いちごはビタミンCが豊富に含まれており、抗酸化作用が高く、たんぱく質と結合してコラーゲンを作り出すため美肌効果が期待できます。ビタミンCといえば代表的なのがレモンですが、一日の必要量をレモンで摂取すると約2個分を必要とします。それに対しいちごは約5粒で一日分を補うことができます。いちごは皮を剥かすそのまま食べることができるため栄養の損失も少なく、効率よく手軽に摂取することができます。

 ビタミンCは水に溶けやすいため、いちごを洗う際は栄養が流れ出てしまわないよう、洗った後にへたを切り落としましょう。

 また、目の疲れや血圧の抑制効果も期待できる赤い色素成分のアントシアニン、妊婦や授乳中の女性にはぜひ摂ってほしい葉酸も含まれています。

 形、色、味もさまざまないちご。色々な品種を食べ比べて自分好みのいちごを探してみるのも楽しそうですね。季節の変わり目で体調を崩しやすいこの時期。甘酸っぱくフレッシュないちごを食べて不足しやすい栄養を補い元気に毎日を過ごしましょう。