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栄養レシピ&コラム 2017年公開分
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苦味パワーで夏バテ予防

苦味パワーで夏バテ予防

 先日、トマト、きゅうり、なす、ゴーヤ、オクラの苗を植え、夏野菜の収穫を楽しみに待っています。なかでも暑い夏におすすめなのがゴーヤです。
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 ゴーヤは苦瓜(にがうり)、ツルレイシとも呼ばれるウリ科ツルレイシ属のつる性の一年草です。熱帯アジア原産で、日本に伝わったのは江戸時代とされます。沖縄や九州南部などで栽培されてきましたが、それ以外の地域ではあまり食されていませんでした。沖縄の人が長寿であることや、ゴーヤの持つ機能性が注目され、また沖縄料理のブームなどから、今では全国で栽培され食べられるようになってきました。
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 完熟する前の未熟果を食用とするゴーヤは、その名の通り苦味がとても強いです。この苦味は「モモルデシン」という成分で、胃液の分泌を促して食欲を増進させたり、胃腸の粘膜を保護する効果があります。この「モモルデシン」には、血糖値を低下させる働きがあることがわかっています。さらにコレステロールを下げる効果があることや、ガン抑制効果などが期待され、研究が行われているそうです。
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 またゴーヤには、レモンの2.5倍ものビタミンCが含まれており、しかも加熱をしても壊れにくい特性のビタミンCなのはうれしいところ。さらにはカロテン、ビタミンB1やカリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄分などのミネラル類も含んでおり、食物繊維も豊富です。むくみを取り、疲労回復効果があるので、これからの暑い季節には積極的に食べたい野菜といえます。
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 ゴーヤといえばチャンプルーが有名な料理ですね。豚肉や卵、ツナ缶など、動物性のたんぱく質と合わせて炒めることで、さらに抗酸化力がアップ。暑い沖縄に暮らす人々の健康長寿を守ってきたのもうなずけます。沖縄ではスパムとチャンプルーにするのが定番ですが、魚肉ソーセージや豆腐などもおすすめです。
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 ゴーヤの下ごしらえは、たて半分に割り、種とわたをスプーンで取り除き、3~5mmのうす切りにして、軽く塩をまぶして10分程度おきます。ざっと水洗いし、しっかり水気をきってから炒めると、苦味がやわらぎます。炒め物以外にはあえ物やサラダも美味しいです。下ごしらえのあと茹でてから、ごまやピーナッツ、酢味噌などで和えます。うすくスライスしてさっと茹でて、オニオンスライスやレタス、トマト、ハム、かに風味かまぼこなど合わせてサラダにどうぞ。
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 形をいかして丸のまま種とわたをくり抜き、ひき肉を詰めて焼いたりフライや天ぷらに、油を使った料理とも相性がよいです。さらにはジュースやスムージーもおすすめ。刻んで果物やはちみつとミキサーにかければあっという間に出来上がり(参考:レシピ「ゴーヤジュース」)。暑い日に苦味の効いたビタミンCたっぷりのドリンクで気分がシャキッとしますよ。
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 ゴーヤを選ぶポイントは、全体がふっくらとして緑色が濃く、表面につやがあり、イボイボが黒ずんだりつぶれていないものが新鮮、持ったときにずっしりと重みのあるものを選びましょう。新鮮なうちに食べるのがいちばんですが、保存するときは乾燥しないよう、新聞紙にくるみポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ。上記の下ごしらえをして、さっと茹でてから冷凍することもできます。
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 最近は、品種改良され苦味の少ないゴーヤも出ています。白ゴーヤ(サラダゴーヤ)は、イボイボが丸く生食に向いています。またイボイボのないなめらかゴーヤもあるようなので、機会があれば食べてみたいです。
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 近年、暑い日差しを遮るグリーンカーテンとして、ゴーヤを栽培するのも人気があります。日除けにしつつ、収穫して食べるのも楽しみですね。夏バテ予防&エコライフにゴーヤをいかがですか。