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たけのこで春を味わう

たけのこで春を味わう

  春を代表する食材の一つ、たけのこ。独特の風味と、しゃきっとした歯ごたえが魅力です。当病院がある広島県北広島町でもよく収穫され、今の時期だと近所の方からおすそわけをいただくこともあり、春の楽しみとなっています。
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 わたしたちが食べているたけのこは、イネ科の植物である竹の地下茎、つまり茎の部分に当たります。品種はおよそ70種類あり、一般に食用となっているのは、比較的にえぐみの少ない孟宗竹(もうそうちく)や淡竹(はちく)で、えぐみの強い真竹(またけ)は竹の皮がよく利用されています。たけのこは漢字で『筍』と書きますが、これは「旬」が10日間を表す言葉で、たけのこは成長がとても早く、食べられる期間が10日間しかないことが由来といわれています。 
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 たけのこは鮮度が命です。堀りたては生でも食べられますが、時間が経つにつれ、えぐみはどんどん強くなります。鮮度の高いうちに手早く下ゆですれば、時間が経っても美味しく食べることができます。たけのこのえぐみは、シュウ酸やホモゲンチジン酸という成分が原因。ゆでるときには、昔から米ぬかと唐辛子を入れますが、これは米ぬかに含まれるカルシウムがシュウ酸を吸着して表面を包んで、えぐみを感じにくくし、たけのこのうま味を引きだしてくれる効果があるためです。最近ではたけのこと米ぬかがセットで販売されているのも見かけますが、米ぬかが手に入らない場合は、米のとぎ汁や生米で代用してもよいです。唐辛子を入れるのは、米ぬかの臭みを取る、抗菌作用があるなど諸説ありますが、確かなことは不明なようです。しかしながら、身近なものを使って食材を美味しく食べるための方法を見つけてきた先人の知恵には驚かされますね。
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 たけのこの独特の香りは胃の働きを活発にし、消化を促進します。栄養面では不溶性の食物繊維が豊富で、便通を改善し、コレステロールの吸収を抑える効果が期待できます。またカリウムを含むので、余分なナトリウムを排出し、むくみや高血圧を防ぐ働きもあります。
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 ところで、市販の水煮たけのこに付着している白い粉のかたまり。ついつい取り除きたくなってしまいますが、じつはチロシンと呼ばれるアミノ酸の一種です。チロシンは新陳代謝を活発にし、脳の働きを助けてくれるので、気にならなければ取り除かずにそのまま使いましょう。
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 たけのこを購入するときは、先端が緑色になりすぎておらず、外皮が薄茶色でつやつやしていて、根元のイボイボが少ない、小ぶりでずっしりしたものを選ぶのがポイントです。
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 たけのこ料理といえば、たけのこご飯に若竹煮、木の芽和えなどがありますが、部位ごとに適した料理があります。穂先部の姫皮は、千切りにして、お浸しやお吸い物に。真ん中の部分は、ややえぐみが強いものの、やわらかくうま味もあるので、大きめに切って煮物や天ぷらにすれば、たけのこの美味しさを存分に味わえます。下の部分は硬いものの、えぐみが最も弱いので、小さめに切ってたけのこご飯や炒めものにするのがおすすめです。若竹煮は、春が旬のワカメとたけのこを使ったたけのこ料理の定番。ワカメにはカルシウムが豊富なので、たけのこのえぐみを抑える効果もあり相性抜群です。たけのこの煮物にかつお節をまぶした土佐煮は、それぞれアミノ酸が豊富で、脳の老化防止が期待できます。いろいろな料理でたけのこの美味しさを堪能したいですね。
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 とはいっても、生のたけのこを自分で下ゆでして料理するのは、なんだかむずかしそう、えぐみが強くなりそう…と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にやってみると手順はとてもシンプル。少し時間はかかりますが、やはり旬のたけのこの持つ風味や食感は格別です。今月のレシピでたけのこのゆで方と、たけのこご飯・若竹汁の作り方を紹介しておりますので、ぜひお試しください。今しか味わえないたけのこで、食卓から春を感じてみませんか?